監督

|監督|脚本|トライウェル・カムクワンバ役|キウェテル・イジョフォー/CHIWETEL EJIOFOR /CHIWETEL EJIOFOR

1977年、イギリス・ロンドン出身、ナイジェリア系。スティーヴン・スピルバーグ監督の『アミスタッド』(97)でスクリーンデビュー。『堕天使のパスポート』(02)でブレイクし英国インディペンデント映画賞ほか数々の受賞。以降『ラブ・アクチュアリー』(03)、『メリンダとメリンダ』(04)、『キンキーブーツ』(05)、『インサイド・マン』(06)、『トゥモロー・ワールド』(06)、『アメリカン・ギャングスタ―』(07)など次々と話題作に出演。2013年アカデミー賞®作品賞受賞『それでも夜は明ける』(13)では奴隷制度廃止運動家の主人公を演じ、アカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、英国アカデミー賞主演男優賞を受賞した。近年の作品に『オデッセイ』(15)、マーベルシリーズの『ドクター・ストレンジ』(16)などがあり、最新作は、実写版『ライオン・キング』(19 ※19/8/9日本公開)にメインキャラクターのスカーの声で出演している。また、俳優としてのキャリアに加え、これまで2本の短編映画を監督しており、本作で念願の長編監督デビューを果たす。

インタビュー

監督・脚本 キウェテル・イジョフォー
インタビュー

Q:原作を映画化する気になったのは何故ですか?

ウィリアムの物語は感動的だと思った。希望にあふれ楽観的で、インスピレーションをもらえるような物語だと思った。人生で解決策を発見することの大切さについて触れている。ウィリアムが原作で語ってくれたような語り口で、映画も描きたかったし、真実に忠実な物語として語る事ができればと感じた。アフリカの田舎のコミュニティが不可能と思われる様々な問題をかかえ、それを克服した事実はポジティブで、興味深い真実だと思うから。非常にインスパイアーされたんだ。

Q:あなたの監督デビュー作として、テーマがアフリカの物語であるというのは、どれほど重要ですか?

本を読んで様々な理由から感動した、というのが映画化の最大の理由だった。自分自身が関心を持てるテーマであると感じたからだ。そして、自分自身の問題であると感じたテーマだったから。それは監督を決心する大きな要因だったね。

Q:アフリカはあなたにとってどんな場所でしょうか?生きるか死ぬかという場所でしょうか?お父さんはアフリカで亡くなったそうですが。

そうだね。現在のナイジェリアはそうでもないが、ビアフラ戦争など、大規模な飢饉がおこったりした。大きな危険や災害など、壮大な景色とそこに横たわる様々な問題がアフリカにはあると思う。その中には西洋社会で映画のテーマになった出来事もあるし、話題にならなかった出来事もあるし・・・。

Q:マラウイの飢饉について多くの人が知っています。しかし現地の、アフリカの人の視点で語ら れる機会はあまりなかったと思います。その点があなたにとって重要だったのですか?

全くその通りだよ。それが原作を読んだ時の衝撃だったんだ。あの状況を内部から感じること。テレビのニュースやドキュメンタリーを観てこんな事が起こっていますと知るのとは違う。実際にそれを体験するのはどんな気持ちか、体験者の目を通して深く考える機会はあまりないからね。

Q:環境問題などにも関連してくる物語ですが、その点にも関心があったのですか?

すべては原作に出てくる実話に基づいている。後から僕が意図的に環境問題を織り込んだわけではないんだ。環境の変化によって、降水量が異なったり・・・それは現実として、マラウイや他の国々で起こった事だ。そして一番経済力のない人たちのところにその影響が最も著しく降りかかることになった。彼らの生活に影響を及ぼしたこの変化は、いずれは僕らすべての人間にも影響を及ぼす事になるだろう。

Q:父親役を演じることにした理由は?

最初は自分で演じないと決めていたんだ。10年前のことで、10代の父親役を演じるには若すぎたから。ところが映画化に10年もかかるとは予想していなかったんだ。でも時が流れるにつれて、可能性が出てきたんだ(笑)。また予算を確保するためにも、自分が出演するというのは助けになったしね。

(2019年2月/interview&text高野裕子)
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