COMMENT

(※50音順・敬称略)

赤ペン瀧川(映画コメンテーター)

英雄なのか怪物なのか。“最善の選択”を続けていたはずの男がなぜそこに辿り着いてしまったのか…この物語は他人事じゃない。だからこそ目が離せない。

石田純一(俳優)

なんというチャーミングな映画!権力の内側という未知の領域に踏み込んで、実在の人物たちを驚くほどリアルに、生き生きと描いた秀逸な人間ドラマ。 ブッシュやラムズフェルド、パウエルにライス、みんな良かったがチェイニーを演じたクリスチャン・ベールに仰天。最初彼とは識別できなかったほど!!

越智道雄(北米文化・政治研究/明治大学名誉教授)

ワイオミングの「田舎者」が出世を焦り、エールに入学、痛烈な疎外感から退学、よりしたたかなドナルド・ラムズフェルドに智恵をつけられ、無知なブッシュ息子の副大統領として人形遣いとなり、イラク侵攻を引き起こした。原題「ヴァイス」は「副大統領」と「悪」の両義。

金平茂紀(TVキャスター)

大統領が副大統領に乗っ取られた。大統領はただの操り人形。少し前のブッシュ/チェイニー時代がそうだった。イラク戦争は「副」が仕組んだ。この映画はその悲劇を痛烈無比に笑いのめし、私たちに「騙されるな」と警告する。

小島秀夫(ゲームクリエイター)

どこまでがリアルで、フェイクなのか?半世紀に渡るアメリカのあの歴史的ダークサイドを笑い飛ばす、ブラックな痛快作。クリスチャン・ベールらの役作りにも驚かされるが、それ以前に本作が映画化され、一般公開されることにアメリカのエンタメ力を感じる。しかし、観終わって一晩眠り、冷静に現実を反芻してみると、今度は怖くて熟睡出来なくなる。ホワイトハウスに巣食う“VICE”を晒したノワール・ゴシック・コメディとも言うべき痛烈なVICE映画だ。

さいとう・たかを(劇画家)

政治の世界は、何処も同じである。自由の国で、映画でここまでやれれば面白い。役者の演技もすごいが、だんだんと歳を重ねていくメイクアップを観るだけでもこの映画は値打ちがある。あれほどのメイクアップは、これまで観たことがない。

坂上忍(俳優)

クリスチャン・ベールはロバート・デ・ニーロを超えた!?変幻自在の肉体改造は、もはや神の領域である

佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)

日本人にはちょっと縁遠い、超地味な政治劇なはずなのに…ひっくり返りそうなぐらい面白い演出と、チェイニーはじめブッシュやラムズフェルドやパウエルのメイクが似すぎてて笑え、なんだか夢中になって最後まで観ました。

佐藤二朗(俳優)

こんなに深い静けさにいるクリスチャン・ベールを初めて見た。
そしてその静けさは、今まで以上に鬼気迫るものだった。

鈴木伸之(俳優)

時代を変えたある1人の生き様を、まじまじと見せつけられたような、とても興味深い社会派、エンターテイメント作品でした!

洞口依子(女優)

冒頭から演者、語り、エンドロールに至るまで爆笑の渦。あんたはマクベス夫人か?!と言わんばかりのエイミー・アダムズ。そっくりびっくりな俳優陣。音楽も痺れる! 終わってからも“臭う”映画だ。

鳥越俊太郎(ジャーナリスト)

永年の謎が解けた。米国はあの時なぜ不法なイラク戦争に突入したのか?ブッシュ大統領ではなかった。主犯はこの映画の主人公、副(バイス)大統領だったのだ。「バイス」には「悪徳」「邪悪」の意味もある。実に示唆に富むタイトルだ。

長野智子(キャスター)

同時多発テロ事件時のブッシュ政権をずいぶん取材したけれど、これほどまでに副大統領が「バイス」だったとは。エンターテインメントを超えた驚愕の告発映画だ。

中林美恵子(早稲田大学教授)

登場人物の容姿や喋り方が本物そっくり!私の米国上院予算委員会勤務時代の10年に重なる様々な出来事を、鮮明に思い出させる。現在のアメリカ政治につながる時代の機微を、副大統領を通し巧みに描いている。

パトリック・ハーラン(芸人/コメンテーター)

世界を変えた恐ろしい副大統領についての、映画界を変える素晴らしい作品だ。チェイニーはあまり明るみに出てこない、大統領府の影の操縦士だったのに、こんなに興味深く面白い描写ができるとは驚きだ。知るべき人物。見るべき映画!

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

ブッシュ政権の当時はチェイニーを悪の権化のように思っていました。この映画を見ると知らなかったことも多く立体的に見えますが、最初の印象は間違っていませんでしたね…

堀潤(キャスター/ジャーナリスト)

アメリカが壊れ、アメリカが壊した。
この教訓と向き合わなければ、日本も危ない。
もう壊れかけているのだから。
ブッシュではない。チェイニーだ。

町山智浩(映画評論家)

国民をだましてイラク戦争に引きずりこんだ副大統領を実名でブラックなコメディに! 日本にはなぜ、こんな映画がないのか?

松江哲明(ドキュメンタリー監督)

悲劇を喜劇として描くために、作り手たちは映画のルールを更新した。笑ってる場合じゃない事実ほど、スクリーンを通せば観客に突き刺さるはずだと信じて。新しい映画とは、一線を踏み越えることで生まれるのだ。

松尾スズキ(作家・演出家・俳優)

演技の天才? いや、演技の職人? いや、演技の変態、という言葉しか浮かばない。クリスチャン・ベールが思いを込めすぎていない映画を見たことがない。

茂木健一郎(脳科学者)

コメデイの神さまが政治の裏舞台に降臨して、傑作が生まれた!
野心と保身が渦巻くホワイトハウス。
出世の階段を上りつめる男の人生に、交錯する悲劇と喜劇。
人間ってどうしょうもない。そして愛おしい。

森達也(作家/映画監督/明治大学特任教授)

ありえないほど刺激的、そして挑発的、さらに徹底した権力批判、そしてエンターティメント。ラストのロールクレジットの後、絶対に何かしかけてくると予想していた。思ったとおり。最後の最後まで揺さぶられた。

ロバート キャンベル(日本文学研究者)

たかが10数年前なのに忘れかけた史実がある。権力のスィッチを陰で押すホワイトハウスのナンバーツー=バイス。彼の野心と悲惨な戦争を淡々と、時にコミカルに描いたタイムリーな映画だ。
心臓の鼓動まで聞こえる迫真の演技、あっという間に終わると僕の心はアメリカの「今」に繋がり、いっそう重い気分になった。

石田純一(俳優)

金平茂紀(TVキャスター)

さいとう・たかを(劇画家)

坂上忍(俳優)

佐藤二朗(俳優)

洞口依子(女優)

長野智子(キャスター)

パトリック・ハーラン(芸人/コメンテーター)

堀潤(キャスター/ジャーナリスト)

松江哲明(ドキュメンタリー監督)

森達也(作家/映画監督/明治大学特任教授)