ストーリー

16回の脱獄と銀行強盗を繰り返し、誰ひとり傷つけなかった74歳の紳士フォレスト・タッカーのほぼ真実の物語

時は1980年代初頭、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、目的を遂げる銀行強盗がいた。彼の名はフォレスト・タッカー、74歳。被害者のはずの銀行の窓口係や支店長は彼のことを、「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。事件を担当することになったジョン・ハント刑事も、追いかければ追いかけるほどフォレストの生き方に魅了されていく。彼が堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人もいた。そんな中、フォレストは仲間のテディとウォラーと共に、かつてない“デカいヤマ”を計画し、まんまと成功させる。だが、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、予想もしなかった危機にさらされる─。

実在のフォレスト・タッカーとは?

1920年、アメリカ、フロリダ州生まれ。歴史を飾ってきた数々の悪名高きアウトローの中でも、他の者たちとは全く異なるタイプの銀行強盗。18回もの脱獄を成し遂げ、華麗な手口で銀行を襲っていた。

1979年の夏、サン・クエンティソ州の刑務所からボートを作って脱獄し、世間の話題をさらった。1980年代初頭、初老のメンバーで構成された「黄昏ギャング」と共に、数々の伝説的な強盗をはたらいた。年齢を顧みず、予想を裏切り、ルールをことごとく無視することをやめなかったフォレストは、晩年に強盗としての人生の頂点に達する。どんなに実現困難なものであっても、必ずや完璧にやり抜いたのだ。1999年に起こしたテキサスでの武装強盗の罪で、2000年に13年の刑を受けてから4年目の2004年、獄中にて83歳の生涯を閉じた。