1984年北海道生まれ。一橋大学社会学部卒業、映画美学校フィクションコース初等科修了。主な長編映画に『ワイルドツアー』(2018)、『きみの鳥はうたえる』(18)など。最新作はNetflixオリジナルドラマ『呪怨:呪いの家』(20)。他に鈴木了二との共同監督作『物質試行58:A RETURN OF BRUNO TAUT 2016』(16)やビデオインスタレーション作品として「ワールドツアー」(18/山口情報芸術センター[YCAM]との共作)、「July 32,Sapporo Park」(19/札幌文化芸術交流センターSCARTSとの共作)などを発表している。
11歳。「今頃はNASAの職員になっているはずだったのに」な映画。理不尽な搭乗員の交代劇に心搔き乱されたり、帰り道はトム・ハンクスの真似をして月に親指をかざしてみたり。ニュートンと日経サイエンスの定期購読を親にねだり(背伸び!)、しかし中学数学で早々に挫折。アポロ13号船内に空いた丸い穴を埋めるため、柔軟に知性を発揮する地上のNASA職員たちにいまも憧れている。丸い穴をアレで埋めるかれらのように、自分も映画をつくりたいものです。
『アポロ13』
Blu-ray:1,886円+税/DVD:1,429 円+税
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
※ 2020年6月の情報です。
16歳。「映画なんて近づいたらヤバいと気づいたはずなのに」な映画。中3時に初めて映画のようなものを作り、これは面白いと調子に乗っていろいろ映画を観始めたら早々に巨大な壁に激突。自分は何も観ていないし何も知らないことに一丁前に絶望。と同時に、何もわからないのに何もかもがあまりにも面白いことに全身で興奮&混乱。こんなとんでもない奴がいる映画の世界に憧れるのはよそうと思い、「でも長い映画はすごいからまた観にこよう」という教訓だけ持ち帰ったのだが、その後やってきた『ヤンヤン 夏の想い出』『ユリイカ』にまんまと捕まってしまった高校時代。
22歳。「こんなデンゼルにいつかなりたい」な映画。この映画について書くと長くなりそうだからなるべく端的に……「ある映像をみて人生が変わる」、まさにそのことについての映画だと思う。映画なんてこの社会の何の役にも立たないと気が滅入る日や、そりゃそうだと開き直る日もあるが、しかしこの映画をみると「映画は人生どころか世界をまるごと変えうる」と信じたくなる。まあとにかく、この映画の悲しくなるほど陽気に笑うデンゼルは、『アンストッパブル』のガッツポーズデンゼルと合わせて、自分のヒーローです。