“生きる意味”を探して奇妙にすれ違う男女の運命を描く
ウディ・アレンのテツガク的集大成たるダーク・コメディ!
人生というものは良かれ悪しかれ、何をきっかけに、どこへ転がっていくのか、誰にもさっぱりわからない。ゆえに私たち人間はどうしようもなく無力な存在であり、目には見えない運命や偶然といったものを受け入れながら日々を生きている。そもそも人間が“生きる意味”とは何なのだろうか。自分自身の存在意義や人生の道標を見失ったとき、都合よく“生きがい”なんて見つかるものだろうか......?
2011年の『ミッドナイト・イン・パリ』でキャリア最高の大ヒットを飛ばした後も、年に1本の製作ペースを保ち、ケイト・ブランシェットがアカデミー賞主演女優賞に輝いた人間ドラマ『ブルージャスミン』、南仏を舞台にした軽妙な恋愛喜劇『マジック・イン・ムーンライト』で世界中を魅了してきたウディ・アレン。この誰もが敬愛する天才監督は筋金入りのペシミストとして知られ、手を替え品を替え、先述の通りの運命や偶然なるものに翻弄される人間の哀しさ、滑稽さを探究してきた。そんな映画界の哲学者が「人生は無意味である」という真理に到達してしまったニヒルな大学教授を主人公に紡ぎ上げた『教授のおかしな妄想殺人』は、まさしくアレンのテツガク的集大成というべき奇想天外なダーク・コメディである。