ディレクター

脚本/監督:ジム・ジャームッシュ Writer/Director: JIM JARMUSCH

1953年、アメリカオハイオ州アクロン出身。作家を目指しコロンビア大学に入学し英文学を専攻。その後、ニューヨーク大学大学院映画学科に進み、卒業制作で手掛けた『パーマネント・バケーション』(80)で注目を集め、第2作目となる『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(84)では独創性と新鮮な演出が絶賛され、84年カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞。世界的な脚光を浴びる。96年ニューヨーク映画批評家協会賞撮影賞を受賞した『デッドマン』(95)、05年カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した『ブロークン・フラワーズ』(05)、制作に18年をかけた短編集『コーヒー&シガレッツ』(03)など話題作を発表。長年、インディペンデント映画界において、独創性に富み影響力のある人物として認められ、独特のオフビートな作風で世界中の映画ファンを魅了し続けている。本作は前作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)から4年ぶりの新作となる。 また、『イヤー・オブ・ザ・ホース』(97)以来20年ぶりの音楽ドキュメンタリー、伝説のバンド“ザ・ストゥージズ”にせまる『ギミー・デンジャー』(16)も9月2日に公開される。

画像© Sara Driver

『パターソン』は、ひっそりとした物語で、主人公たちにドラマチックな緊張らしき出来事は一切ない。物語の構造はシンプルであり、彼らの人生における7日間を追うだけだ。『パターソン』はディテールやバリエーション、日々のやりとりに内在する詩を賛美し、ダークでやたらとドラマチックな映画、あるいはアクション志向の作品に対する一種の解毒剤となることを意図している。本作品は、ただ過ぎ去っていくのを眺める映画である。例えば、忘れ去られた小さな街で機械式ゴンドラのように移動する公共バスの車窓から見える景色のように。

── ジム・ジャームッシュ