コメント

テンポの良い悲喜劇で、なんといっても人間ドラマが面白い。プラス、全編に「欧米の美術界あるある」が濃厚に満ちていて、そちらもすごく楽しめる。
20世紀美術全体への疑念と愛が、この個別の人間ドラマと呼応していて、いやはや見事な構成。

会田誠美術家

オープニングのフェイク・ドキュメンタリー的手法が、後半の切ないファンタジーへと重なる。
老いること。名声を得ること。それらの虚実をベッカー監督はシニカルに描く。色を重ねる。観客は最後に気づく。絵画ほどフェイクでリアルな表現はないのだと。

森達也作家・映画監督・明治大学特任教授

これは絵描きにとっての「署名」の重さをめぐる映画でもある。そんな運命的な重さが、こんな調子外れの旅で発揮されるとは。いや、画家の栄光と挫折に祝福された映画だからこそ、そんなことも起きるのだろう。

椹木野衣美術批評家・多摩美術大学教授

食えない老人と傲慢な若者の珍道中はそれだけでも面白い。
それがポップでファニーでほろ苦い、芸術と人生へのラブレターとなるような旅なら尚のこと。
更にこの監督で、この主演俳優。もう間違いがない。

山崎まどかコラムニスト

ロードムービーという外見に惑わされてはいけない。これこそ真の「ベルリン人」マインドを表現した映画だ!
ユーモアのためにペーソスが、ペーソスのためにユーモアが存在する、その滋味を堪能していただきたい。

マライ・メントライン翻訳・通訳・エッセイスト

ステキに滑稽な大人のおとぎ話。このあたたかみ このぬくもり好きだなぁ〜。「幸運を祈る!!世界の人みんなに」聴きなれたフレーズなのにわしづかみにされた私のSpirit。
タフで身勝手な男たちふたりが母性をくすぐる♡私もヘンテコリンな欲の断捨離しなくっちゃ。やんちゃでおしゃれな人だろうなぁ。監督ベッカー♡

萬田久子女優

ウソのような(つか、作り話なんだけど)笑えるロードムービーか!と思いきや(つか、それだけでも充分楽しめるんだけど)喪失と獲得、若さと老い、哀しみよさようなら。虚実はラストシーンにライ麦畑でキャッチされるのだ。

奈良美智美術家

盲目の画家カミンスキーって…、と
美大時代の友人たちに話しかけたら
十中四五くらいは、「あぁ、あの画家ね!」と
知ったかぶりをして答えてくれるだろう。
彼らもこの作品も、期待を裏切らない!

KIKIモデル

美術業界やそこに群がる人々、みんな一癖も二癖もあってどこか意地悪。
そんな人たちの織りなす物語に嫌気がさす。
けれども、そのまま見続けていると、いつの間にかその人たちを愛してしまっている自分がいる。
虚と実の間で揺さぶられながら、いつの間にか取り込まれていく。
なんか悔しい。

鶴田真由女優

「勘違い」を人生を通して細かいところまで行っていくのがアーティストなのではないかと考えさせられ、勇気づけられました。そういった人生、作品は後から普遍的なものとして、認識されるんだろうなと思います。大筋で歳はあまり関係ない気がします。

Mr.アーティスト

盲目の老画家と野心的な若いジャーナリストの主導権争いのうちに、〈本物と偽物〉〈真実と嘘〉〈天才と凡人〉の境界が曖昧になり、観客はめまいに似た感覚に襲われる。〈悪意〉のぶつかり合いが素晴らしく魅力的なドラマ。

瀬川裕司明治大学教授・ドイツ文学者

最後のエンディング映像だけでも、絵画好きには堪らないモノが在る!!
胡散臭い登場人物。
虚実、裏表。
真実は何処に在るのか?
そもそも、絵画も、幻想の旅である。

片岡鶴太郎俳優・画家

※敬称略・順不同
2017年4月29日(土)、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次公開
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