ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻

わたしたち、二人とも地獄行き

アカデミー賞受賞 アリシア・ヴィキャンデル×アカデミ賞ノミネート ジュード・ロウ

第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品

2024年英国インディペンデント映画賞  衣装デザイン賞受賞ヘアメイク賞ノミネート


監督:カリン・アイヌーズ
2023年 | イギリス | 英語・ラテン語 | 120分 | 4Kスコープ | カラー | 5.1ch 
原題 FIREBRAND | 日本語字幕 中沢志乃 | 配給 ロングライド 
© Brouhaha Entertainment Limited 2023 


NEWS

カリン・アイヌーズ監督からのコメントが到着!

2025/02/15 18:05 up!

キャサリン・パーの物語を語ることができるなんてこれほど嬉しいことはありません。キャサリン・パーは、英国テューダー朝の歴史において軽視されてきた、あるいは過小評価されてきた女性の一人です。ヘンリー8世の暴虐な治世については多くのことが知られ、国王自身についても、国王の手によって命を落とした人々についても多くのことが語られています。

本作は、意外にもこれまで大きなスクリーンで描かれることのなかった、歴史上比類なき人物の感動的な肖像を、より多くの人々に紹介する機会だと捉えています。この物語は、キャサリン・パーがイングランド王妃として生き抜いた最後の数ヶ月、そしてヘンリー8世が国王として生きた最後の数ヶ月を描いています。キャサリン・パーは、恐ろしい虐待関係の悪夢の中で夢をみる勇気をもった女性であり、女性という存在が男性支配の世界において付属物でしかなかった時代に、自国の新しい未来を大胆に志した人物です。従順であるか、処刑されるか、という自分の境遇に屈しない勇敢な女性なのです。

また私にとって本作は”時代劇”の再構築でもありホラー映画や政治スリラーにも近いと思います。迷信的で、血にまみれたイギリス・テューダー朝を舞台に、宮廷内での恐怖を生き抜く現実を描いた作品です。キャサリン・パーが彼女自身の理想の国家を思い描いたように、私はこの中世の、大英帝国となる前のイングランドの雰囲気や味わいを思い描きました。凍てつく宮廷の回廊にはびこる権力闘争や陰謀といったように、とてつもなく侵略的で残忍、そしてミステリアスな性質を想像しました。風のささやきは、登場人物たちの痛み、絶望、希望の叫びと調和します。言葉にならない重荷、生き残るための力、王家の衣服の重みがのしかかる身体の不快感。そしてイギリスのどうしようもない寒さと権力が混ざり合った物質的な重みのような、濃密で強烈な何か。

私は本作をもって、脅かされる肉体の熱、心臓の鼓動、息づかい、生命が絶え間なく危険にさらされ支配されている状況をスクリーンに映し出したかったのです。金と虚勢と暴力、運命、生と死の駆け引き、深紅と青が飽和した色彩の映画、冬の冷たい風が吹く世界に生きる登場人物たちの物語を想像したのです。

カリン・アイヌーズ