時は1980年代初頭、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、目的を遂げる銀行強盗がいた。彼の名はフォレスト・タッカー、74歳。被害者のはずの銀行の窓口係や支店長は彼のことを、「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。事件を担当することになったジョン・ハント刑事も、追いかければ追いかけるほどフォレストの生き方に魅了されていく。彼が堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人もいた。そんな中、フォレストは仲間のテディとウォラーと共に、かつてない“デカいヤマ”を計画し、まんまと成功させる。だが、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、予想もしなかった危機にさらされる─。
1920年、アメリカ、フロリダ州生まれ。歴史を飾ってきた数々の悪名高きアウトローの中でも、他の者たちとは全く異なるタイプの銀行強盗。18回もの脱獄を成し遂げ、華麗な手口で銀行を襲っていた。
1979年の夏、サン・クエンティソ州の刑務所からボートを作って脱獄し、世間の話題をさらった。1980年代初頭、初老のメンバーで構成された「黄昏ギャング」と共に、数々の伝説的な強盗をはたらいた。年齢を顧みず、予想を裏切り、ルールをことごとく無視することをやめなかったフォレストは、晩年に強盗としての人生の頂点に達する。どんなに実現困難なものであっても、必ずや完璧にやり抜いたのだ。1999年に起こしたテキサスでの武装強盗の罪で、2000年に13年の刑を受けてから4年目の2004年、獄中にて83歳の生涯を閉じた。
微笑みながら銀行を襲うとんでもなくセクシーな老人強盗犯。どんなことがあっても「足を洗えない」レッドフォード自身がそこにいる。
A:『アンカーウーマン』
安藤優子(キャスター)
夢と理想を追い楽しく人生を送るアウトロー。
老いを背負いながらも絶対に足を洗おうとしない頑固者、老いらくの恋にも男の艶と深い味わいがある。
ラストシーンの後ろ姿に、その魅力に心を鷲掴みにされました。
A:『明日に向って撃て!』
北大路欣也(俳優)
映画史に名をとどめる「天下の二枚目」にして、人間の心のひだを繊細に描いた名監督ロバート・レッドフォード。
彼のすべてが浮き上がってくるこの作品は、世界の映画ファンが愛した「希代な映画人」への美しい讃歌だ。
A:『愛と哀しみの果て』
戸田奈津子(字幕翻訳者)
レッドフォードにもまして、ほどよく年老いたシシー・スペイセックの魅力に心を動かされた。
その一点において、このD・ロウリーの新作は、『運び屋』を超えている。
A:『スパイ・ゲーム』
蓮實重彦(映画評論家)
『明日に向って撃て!』『スティング』……レッドフォードが演じてきた反逆の軌跡が、この映画には刻まれている。その顔の皺のように。
A:『コンドル』
町山智浩(映画評論家)
強盗に、なんでこんなにホッコリするんだろ!最高!
ロケもセットも美術も衣装も!もちろん撮影も!
ダニー・グローヴァーの役やりたい。
てか、レッドフォード引退させていいの、みんな!!
A:『スティング』
光石研(俳優)
82歳になったレッドフォードだからこそ、演じることが出来た役を美事に演じきっています。ということはこの作品は、“映画、大好きな人”は、必見なのであります。とにかく、楽しく、痛快に見られます!!
A:『追憶』
おすぎ(映画評論家)
こんなイカした銀行強盗犯だったらついついお金を渡してしまうかも
叱られてしまうかもですが、最後の最後まで「捕まらないでくれ!」と心の中で叫んでいました
そして、ロバート・レッドフォードさん引退するなんて言わないでください!
A:『明日に向って撃て!』『スティング』『大統領の陰謀』
坂上忍(俳優)
クライマックスがないのに盛り上がる不思議な強盗映画。追われて自分を取り囲むパトカーのサイレンが黄昏によく似合うことが分かった。
A:『スニーカーズ』
長嶋有(作家)
人を傷つけたりしないスマートな銀行強盗がレッドフォードにピッタリ!立姿が若々しくて引退なんて勿体ないくらいに素敵です。
A:『追憶』
ピーコ(ファッション評論家)
ロバート・レッドフォードの顔に刻まれた木目のようなシワがカッコイイですよね。'70年代、随分と映画を観ましたが、加齢をさらなる魅力に昇華出来る人が本当のスターなんだと思いました。こりゃ、誰もがレッドフォードに惚れちゃうわけです。
A:『追憶』
みうらじゅん(イラストレーターなど)