コメント

ジャズの流れる中、おずおずと互いを慈しみながら身をまかせて行く若い恋人たちの姿が息を呑むほど美しい。ジェンキンス監督は、前作に続き、ハードでアンフェアな人生の中にも確実に存在する、きらめくかけがえのない宝物たちを見せてくれた。

山田詠美(作家)

どんな制圧のなかでも人の心が屈することはないのだ、と思った。
いまだに答えの見つからない現実を思いながら、光にあふれる映像とすべての美しいまなざしに救われた。

石橋静河(女優)

最初の5分で、この監督は優しい光と音で世界を見ていると、みんな感じると思います。恋愛しているときに一瞬見える光。この世には存在しない”永遠”という概念が垣間見える瞬間。2人の姿にとてもシンプルな気持ちにさせられました。
苦しみを濃く描くと共に、それを利用するかのように、根本的な強さや美しさが描かれた、愛の神話です。

コムアイ(水曜日のカンパネラ)

バリー・ジェンキンスの新作は、「ムーンライト」と同じく、マイノリティへの迫害を描く作品である。しかし、社会や体制への反発ではなく、過酷な環境下にあっても、支え合う人々のポジティブな愛に満ちている。抵抗や破壊よりも、全てを受け入れて、愛で人生を創造する。これはマイノリティたちの「この世界の片隅に」である。

小島秀夫(ゲームクリエイター)

琥珀に閉じ込められた街の記憶を観ているようだった。肌が粟立つような喜び。声にならない苦しみ。愚かしい憎悪。そして慎ましやかな親切。全ての光景が飴色に香ばしく輝いている。

髙城晶平(cero)

詩的でロマンチックでPOPな世界の中
目を離せなくなる美しくて瑞々しく色鮮やかに生きる1組の黒人カップル。
時代の不遇を嘆く事なく、真っ直ぐに生きる2人を応援している自分に気づきます。
ふとした時に目に入る周りの人々の優しさも力強く惹かれます。

野崎萌香(モデル)

*順不同、敬称略