嗅覚に不思議な力をもつ少女は
こっそり母の香りを集めている。
そんな彼女の前に突然、
謎の叔母が現れたことをきっかけに
彼女のさらなる香りの能力が目覚め、
自分が生まれる前の、
母と叔母の封じられた記憶
にタイムリープしていく。
やがてそれは、
家族の運命を変える
予期せぬ結末へと向かっていくー
セリーヌ・シアマ(『燃ゆる女の肖像』)、ジュリア・デュクルノー(『TITANE チタン』)に続く才能、今フランスで最も注目を浴びる新鋭レア・ミシウス監督作日本劇場初公開。アルノー・デプレシャン、ジャック・オディアールなど錚々たる巨匠監督たちの脚本を手掛けてきたミシウス監督最新作は<香りの能力でタイムリープする少女とその家族>の物語。『アデル、ブルーは熱い色』で世界を魅了したアデル・エグザルコプロスが能力者の娘を持ち自身も“ある秘密”を抱える母親を熱演した。
<ファイブ・デビルズ>という架空の村を35mmフィルムで捉えた映像が美しくも恐ろしく、「ツイン・ピークス」『シャイニング』『アス』に影響を受けたとミシウスが語るオマージュシーンも見所。全く新しい奇妙な世界観を纏った怪しげな家族ドラマは、SFの世界へ突入し、やがて情熱的な愛の物語へと昇華する。
斬新なストーリー展開もさることながら本作では女性たちの連帯を力強く活写し、カンヌ国際映画祭でLGBTQ +がテーマの作品に授与されるクィア・パルムにノミネートされた。
嗅覚に不思議な力をもつ少女は
こっそり母の香りを集めている。
そんな彼女の前に突然、
謎の叔母が現れたことをきっかけに
彼女のさらなる香りの能力が目覚め、
自分が生まれる前の、
母と叔母の封じられた記憶
にタイムリープしていく。
やがてそれは、
家族の運命を変える
予期せぬ結末へと向かっていくー
1989年4月4日、フランス、ボルドー出身。
フランスの映画学校ラ・フェミスに入学後、映画技術を学びながら、脚本家、監督としての才能を発揮する。最初の短編『Cadavre exquis』(13/未)は、クレルモン=フェラン国際短編映画祭でSACD賞を受賞。続く2本の短編、『Les oiseaux-tonnerre』(14/未)と、『パリ13区』(21)の撮影監督も手掛けたポール・ギロームとの共同監督作『L'île jaune』(16/未)は、多くの映画祭で上映され、賞も獲得した。初の長編映画となる『アヴァ』(17)はカンヌ国際映画祭カメラ・ドールを含む4部門にノミネート。2021年、カンヌ国際映画祭正式出品されたジャック・オディアール監督とセリーヌ・シアマと共同脚本を務めた『パリ13区』が話題となったほか、アルノー・デプレシャン監督『イスマエルの亡霊たち』(17)、クレール・ドゥニ監督『STARS AT NOON』(22/未)でも脚本に参加するなど、現在、フランスで個性的な若手映画作家として最も注目を浴びる一人である。
1993年、フランス・パリ出身。名門リセ・ラシーヌ校在学中に映画のキャスティング・ディレクターの目に止まり、その後2015年に中編作品『Martha』でデビュー。以降、ジェーン・バーキン初長編監督作品『Boxes』(07/未)などの話題作に次々と出演し、2013年には『アデル、ブルーは熱い色』でアブデラティフ・ケシシュ監督、共演のレア・セドゥと共に第66回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した。主な出演作に『アナーキスト 愛と革命の時代』(15)、ショーン・ペン監督『ラスト・フェイス』(16)、『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(18)などがある。
2010年生まれ。レア・ミシウス監督がヴィッキー役を探していた際、候補者の中にいた彼女に一目惚れし、本作への出演が決定した。
フランスの歌手、女優。スペインとアフリカの影響をミックスしたアコースティック・バンドLuzandaのシンガーとして主に活動し、舞台女優としても活躍している。本作のキャスティング・ディレクターがFacebookの動画で彼女を見つけ、出演が決定した。
1972年、セネガル共和国出身。ミュージシャンとしてキャリアをスタートさせ、フィリップ・フォコン監督『Amin』(18/未)で本格的にスクリーンデビューを果たした。主な出演作にルイ・ガレルの監督作『La croisade』(21/未)などがある。
抑圧された環境と感情がもたらす悲劇を目の当たりにした気がした。 暗く重いカルマを断ち切るために、自ら火を放つ人々の姿をヴィッキーに重ね描きました。
今の時代でも閉鎖的な価値観のある場所は当たり前のようにあって、しかし、生きることを続けていると、ふ としたきっかけで世界が変わる瞬間がある。この映画は予告篇を観た時の期待とは、いい意味で違った。
『パリ13区』『TITANE チタン』『彼女のいない部屋』『秘密の森の、その向こう』『アテナ』。映画の最前線を切り拓く作品が続出した「フランス映画の当たり年」を締めくくる一本。
スリラーとホラーとラブストーリーを調合した鮮烈な香りにすっかり眩惑された。
主人公がもつ能力は一見特殊であり奇妙に映るが、きっと人間誰しも内側に秘めた可能性や能力を持ち得ているはずだ。それらを封じ込める蓋となるものが、社会性や規範だろう。
しかしひとたびそれが外れた瞬間、人間は、物事の真理やこの世の愛に触れる大いなる何かになるのではないか。
謎が解けるほど、切なさは増していく。
様々なジャンル感や要素が絡み合った新感覚作品ですが、結局はシンプルに愛の話だということが、この作品を傑作たらしめている。
少女はいつも疑問だったのかもしれない。「なぜ自分は存在しているのだろう?」その探求心こそが、人を人として存在させている。
子供の視点で綴られたこの映画は、まるで恐ろしい児童文学のようだ。
誰かが去ったあとにこの身を支配してくるのは、姿でもなく、声でもなく、匂いなのかもしれない。 どれだけ障壁に阻まれようとたやすく離れられないこの映画の女と女もまた、きっとそうだったに違いない。
切なくて、熱い。母という謎を探る少女の”旅”がたどり着く場所の柔らかさに歓喜した。
あのカラオケシーンは胸に焼き付く。
鋭い嗅覚と強い意志で、少女は運命を覆す方法を見つけ出す。
魔女の系譜にある女たちはこんな風にあらゆる手段を使って自分がどうしても欲しいものを守り抜くものなのだろう。
香りが時間とともに変化するように、物語のジャンルがどんどん切り替わっていく未知の映像体験。トップノートはホラー、ミドルノートはタイムリープ、ラストノートは…??
その余韻は、力強く、あまりに豊か。
カンヌ騒然
息を呑むほど美しい
真実を暴こうとする映画