何も持たなかった男が、未来を仕立てた。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督作
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽:ニコラ・ピオヴァーニ 撮影:ファビオ・ザマリオン 出演:ブルネロ・クチネリ サウル・ナンニ フランチェスコ・カンネヴァーレ フランチェスコ・フェッローニ エンマ・ファトーネ ベアトリーチェ・カルラーニ 2025年/イタリア/イタリア語、英語/127分/カラー/シネマスコープ/原題:Brunello, IL VISIONARIO GARBATO/配給:ロングライド ©BRUNELLO CUCINELLI SPA AND MASI FILM 2025
11月6日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
美しく生きるとは何か――? 人間の尊厳と美を貫いたブルネロ・クチネリの半生。

News

BRUNELLO, IL VISIONARIO GARBATO

About The Movie

⾼学歴でもなく、資⾦も経験もなかった⻘年が、
誰もが夢見た“理想郷”を現実へと導いた。
夢想家か、革新者か――これは、地方の片隅から世界を変えた男の叙事詩。

農村で育ったブルネロ・クチネリは、父が工場で尊厳を踏みにじられるような扱いを受ける姿を見た経験から「人間の尊厳ある働き方」を求め、1978年に小さなニット工房を立ち上げる。ニュートラルな色合いが主流だったカシミヤに鮮やかな色彩を取り入れるという革新的なアプローチを導入し、〈ブルネロ クチネリ〉は世界有数のラグジュアリーブランドとして知られる存在へと成長していく。成功ののち、彼が選んだのは拡大ではなく、人間の尊厳と美を祝福することだった。その結実となるのが中世の村ソロメオの再生である。荒れ果てていた建物を丁寧に修復し、劇場や図書館建設をはじめ、葡萄畑やオリーブ畑を含めた公園を造園。文化とクラフツマンシップ、自然、そして働く人々の営みが調和する村へと育て上げていった。こうした取り組みにより、ソロメオは 文化・環境・経済再生のモデルとして国際的にも注目されるようになる。

ブルネロ・クチネリ

「夢は、勇気をもって育てるとき、人の運命を導く真の力となる」

アカデミー賞®受賞監督ジュゼッペ・トルナトーレは、証言・アーカイブ映像・再現ドラマを重ね合わせ、この人生を静謐な叙事詩として描く。職人の姿、カシミヤの質感、染色の深まり──そのすべてが“倫理の美学”と“人間の尊厳”を照らし出す。オプラ・ウィンフリー、パトリック・デンプシー、リード・ホフマンら多彩な証言者が登場。現代社会において、クチネリは“人間主義的経営”と“森羅万象との調和”を掲げ、企業が社会に果たし得る役割についての新たな視点を提示する。本作は、単なるファッションドキュメンタリーにとどまらず、より人間性を大切にする働き方や生き方について観客に思索を促す作品となっている。ひとりの人生の軌跡が、村を、そして世界の価値観を静かに照らしていく。人はどう働き、どう生きるべきか──その問いが観客の胸にそっと立ち上がる。

Staff

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

1956年イタリア・シチリア島生まれ。『ニュー・シネマ・パラダイス』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、世界的名声を確立した。以降、『海の上のピアニスト』『マレーナ』『題名のない子守唄』『シチリア!シチリア!』など、記憶・時間・倫理・人間の尊厳を主題とする作品を発表し続けている。また、ドキュメンタリー作家としても高い評価を得ており、盟友エンニオ・モリコーネの創作人生を描いた『モリコーネ 映画が恋した音楽家』は、700時間を超えるインタビューと膨大なアーカイブから構築された音楽史への壮大なオマージュとして絶賛された。ほかにも写真家を描く作品やシチリアの記憶を辿る映像群など、“記録”と“詩情”を融合させる表現を確立している。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督

音楽:ニコラ・ピオヴァーニ

1946年イタリア生まれ。フェデリコ・フェリーニ晩年の作品を支え、『ライフ・イズ・ビューティフル』でアカデミー賞作曲賞を受賞。映画音楽だけでなく、舞台、オペラ、室内楽など幅広い分野で活躍し、イタリア音楽界を代表する作曲家として知られる。ピオヴァーニの音楽は、旋律の美しさと詩的な静けさを併せ持ち、映像に深い情緒を与える。本作では、ソロメオの風景とクチネリの思想に寄り添うような音楽を提供し、映画全体に“祈り”のような余韻をもたらしている。

Brunello Cucinelli

出演:ブルネロ・クチネリ

1953年イタリア・カステルリゴーネ生まれ。測量士として卒業後、工学部に進学したが、ほどなく中退。1978年、女性向けの小さなニットウェア企業を創業。カラー・カシミヤという革新的な挑戦を行い、高品質の製品と、色彩と創造性を女性のワードローブにもたらすことを目指した。現在では上質素材・職人技・イタリアおよびウンブリア地方の豊かなテーラリング文化を核としつつ、現代的な感性と多様性を兼ね備えたライフスタイルブランドへと発展している。2012年、同社はミラノ証券取引所に上場。2013年、伝統的な職人技の精神と技能を次世代へ継承することを目的とし、ソロメオ現代高度芸術工芸学校を設立。2014年、プロジェクト・フォー・ビューティーを開始。ソロメオ村の麓に、農業公園・青少年公園・産業公園の3つの大規模公園を整備。さらにワインセラーとワイナリー、オリーブの森、そして“人間の尊厳の記念碑”を建設。2018年、『Dream of Solomeo』(日本では『人間主義的経営』)を出版。2019年以降、ソロメオでは世界各国の最先端テクノロジーの革新者たちが集う“魂と経済のための国際シンポジウム”を毎年開催。2021年、マリオ・ドラギ首相の要請により、G20ローマサミットに登壇。人間主義的資本主義と人間的持続可能性について講演した。

ブルネロ・クチネリ